011 パセリ100gとトマト100gを比較する?

前回に引き続き、食と栄養に関する情報について書いてみます。

 

○ レモンや梅干はクエン酸が多く、疲労回復に良い
○ ゴマはビタミンEが多く、老化予防や血液循環改善効果が期待できる
○ 小魚はカルシウムが豊富で、骨粗鬆症の予防効果が期待できる

 

食材ごとに含まれる栄養素は様々で、特徴のある食品は、上に箇条書きで挙げたように紹介されることが多いですが、いずれも、100グラムあたりに含まれる各栄養素の質量が基準となっています。

 

1950年(昭和25年)に『日本食品標準成分表』が公表されてから改訂を重ねて、現在、最も新しいデータとして『日本食品標準成分表2020年版』が存在します。2020年版では 2,478種類に及ぶ食品の、可食部 100グラム当たりの栄養素が記載されているそうです。

 

そして、ゴマにはビタミンEが多い、小魚にはカルシウムが多いなどと言われるのは、100グラムあたりに含まれる栄養素の量に基づいている場合がほとんどです。

 


 

ではレモン果汁を、他の果物、例えばリンゴやブドウなどと同じように、ストレートでコップ1杯 飲めるでしょうか。水で薄めてハチミツを混ぜれば飲みやすくなりますが、薄めたらその分、たくさん飲まなければ、レモンの栄養はわずかしか摂れません。

 

梅干のように味が強いものを、一度に100グラムも200グラムも食べられるでしょうか。水につけて塩抜きをするということはできますが、そうすれば、カリウムクエン酸など水に溶けるものは全て抜けてしまいます。

 

可食部 100グラムあたりの栄養素をデータにすること自体は何ら問題ないのですが、レモン・梅干など味が強くて一度に少量しか食べないものやパセリ・シソの葉・海苔・小魚・ゴマなど、とても軽くて一度に少量しか食べないものを、大根や白菜、牛乳や肉類など、一度にそれなりの重量を食べたり飲んだりするものと一律で、100グラムあたりに含まれる栄養素をもとに比較して意味があるでしょうか。

 

私は、この点については中学生の時から大いに疑問に思っていました。

 


 

こういったことを考慮せず、栄養学の専門家や栄養士の人が、食材 100グラムあたりに含まれる量をもとに、『○○は○○が豊富』なとど大々的に書いています。一度に少量しか食べない物も、一度にある程度の量を食べる物も同等に書かれています。

 

シソの葉を食べて美肌づくりの効果を得るには、何枚 食べなくてはならないでしょうか。

 

牛乳 200mlと同等のカルシウムを摂取するには、小魚は何g必要でしょうか。

 

こういった肝心な情報が、ごっそり抜けているのです。前回の記事でも書きましたが、栄養や健康に関する情報は、不完全なことが多いのです。

 

次回も、栄養や食に関して出回っている情報について書く予定です。