013 コロナ禍より前から行われてきた鉄道各社の減便

当ブログではこれまでに、この世の中が不完全な情報であふれていると書いてきました。前回までは、栄養・食事・健康に関する情報が特に不完全な場合が多いと書いてきましたが、その他にも不完全な情報はたくさんあります。

 

マスコミの偏向報道が叫ばれるようになってから、かなりの年数が経ちますが、その偏向報道の中でもコロナに関する報道は不安を煽る内容に満ち溢れているのではないでしょうか。あるいは、コロナ禍とはあまり関係ないことまでもがコロナのせいにされて、危険なワクチンを国民に摂取させようという意図が見え隠れしています。

 

※コロナワクチンについては以下の記事を参照願います。
http://rapt-plusalpha.com/health/post-23866/
http://rapt-plusalpha.com/society/post-23794/
http://rapt-plusalpha.com/health/post-23741/

 


 

今回は、マスコミが報道し、あるいは鉄道会社自身が発表して近年 実施している鉄道の減便について書いていきます。

 

『近年 実施している』と書きましたが、実際のところ2019年以前から複数の鉄道会社が減便を繰り返してきました。2020年以降は、どの鉄道会社もコロナ禍を理由に列車本数の削減を行っていますが、コロナ禍とは関係ない減便の事例も多数 存在します。

現に、JR西日本は10年ほど前に一度、関西圏で終電の一斉繰上げを実施しています。

 

以下、実際に2000年代以降に行われた鉄道減便の事例を挙げていきます。

 


 

2020年より前の事例を先に挙げると、
先にも触れた通り、JR西日本は2009年に関西エリアで終電の一斉繰上げを実施しています。
2010年頃には湖西線の京都・堅田かたた間で平日の日中に減便を行っています。
東海道線JR京都線)の京都・高槻間では、2010年・2013年と段階的に日中の普通電車の減便を実施しています。
関西線(大和路線)・和歌山線のJR難波・高田間でも日中の快速の減便を段階的に実施してきました。
阪和線では2011年に、天王寺日根野ひねの間の日中の快速を区間快速に変更し、区間快速が各駅に止まる鳳・日根野間で日中の普通電車を廃止、

同じく2011年に大部分の紀州路快速日根野・和歌山間の各駅に停車するよう変更し、日根野・和歌山間でも日中の普通電車の廃止を行っています。
片町線学研都市線)や福知山線JR宝塚線)でも、同様に日中の快速を区間快速に変更して普通電車の削減を行っています。
その都度、『ご利用状況に応じた列車本数の見直し』という建前で減便が行われてきたのですが、要するに、コロナ禍以前から利用客減少による列車本数の削減は度々 行われていたのです。

 

近鉄も2006年に奈良線で、2012年に大阪線でそれぞれ、準急より停車駅を増やした区間準急を新設し、日中などの閑散時間帯に、区間準急が各駅に止まる区間での普通電車の廃止を行っています。(2021年の7月にコロナ禍を理由に、南大阪線でも日中の急行を区間急行に変更して普通電車の削減を行っていますが、これはコロナ禍以前からの利用客減少が真の理由でしょう。)

 

2019年11月には、JR東日本相模鉄道の直通運転が開始されたタイミングで、埼京線の快速が武蔵浦和・大宮間の各駅に停車するよう変更され、同区間では日中の普通電車が減便されています。

 

これらの多数の事例は、いずれもコロナ禍以前のことで、単なる利用者減が列車削減の理由です。JR西日本の近畿圏の場合、国鉄から民営化された後、大手私鉄との競合区間で利便性を向上させるために電車を増やす努力をしてきたものの、バブル崩壊後の不景気や人口減少、モータリゼーションなど様々な要因が重なって、全体的に利用者が減少しつつあった、その流れで減便を繰り返してきたのです。近鉄など関西圏の私鉄の場合、国鉄が民営化されて以来、乗客がJRに流出していったという事情もあります。

 


 

ここからは、2021年3月以降の事例を挙げます。どの鉄道会社も口を揃えて、コロナの影響による減便としていますが、コロナ禍とは関係なさそうな事例も見受けられます。

 

2021年3月に、JR東日本常磐線我孫子・取手間)の土休日の各停を全廃しました。この区間はもともと、併走する常磐線快速が各駅に停まる区間で、以前から空気輸送に近い状態でした。東海道線の平塚・熱海間や東北線宇都宮線)、高崎線でも毎時1~2本ほど減便されましたが、この規模の減便は昼間だけの話です。

 

2021年7月には、近鉄も各線で減便を実施しています。近鉄の場合、京都、奈良や伊勢・志摩などの観光地を沿線に抱えており、コロナの影響を大きく受けているのは確かで、観光利用が中心の特急は削減されていますが、一方で、ビジネス利用がメインの名阪特急は減便されいてないとのことです。
特急以外の通勤電車は、日中時間帯を中心とした削減でした。こちらはコロナ禍以前から続いている利用者減少が原因と言えるでしょう。
近鉄はそもそも、どのような閑散区間でも日中は毎時2本は電車を運行するという原則を貫いており、特急や主要路線の利用で収支のやりくりをしてきたという経緯があります。いわばもともと無理をしていたのを、2021年7月を機に辞めたのです。近鉄としては、段階的に減便を繰り返していたことかわも分かるように、閑散区間の減便はもっと早く実施したかったはずです。

 

2021年9月には、京阪電鉄が全時間帯に減便を実施しましたが、京阪の場合、長年にわたって利用客がJR等に流出していったことに加え、中之島線京津線の2つの大赤字路線を抱えており、コロナ禍以前から経営収支の改善は大きな課題でした

 

2021年10月に、JR西日本は再度 減便を行いましたが、こちらも日中に限定してのことです。

 


 

2020年にコロナ禍が始まって以来 多くの鉄道会社が、特に夜間の利用客減少が著しいと公表してきました。しかし夜間の減便は極めて限定的、少数で、先に挙げたようにJR西日本JR東日本などでは昼間の減便が圧倒的多数を占めています。

 

これは大きな矛盾ではないでしょうか。

 

2020年3月に改正されたダイヤと2021年3月に改正されたダイヤで、山手線の列車本数を見比べてみても、終電を繰り上げた以外は夜間の減便は見受けられませんし、初電の時間は変わっていません。

平日の山手線・外回りで大崎駅の電車の時刻や本数を、2020年3月のダイヤと2021年3月のダイヤで比べてみると、22時台はいずれも14本で減便は一切されていません。同じく大崎駅の山手線・内回りも12本のままで減便されていません。

平日の京浜東北線南行(横浜方面)の東京駅22時台で比べると、11本のままで減便されていませんし、運転区間(行先)で見比べると、むしろ延長されているくらいです。
京浜東北線南行の東京駅発の主な行先は、東京駅から近い順に蒲田、桜木町磯子いそご、大船があります。この京浜東北線の東京駅22時台の電車の行先を2020年3月ダイヤと2021年3月ダイヤで比べると、2020年3月ダイヤでは桜木町行き4本、磯子行き3本、大船行き4本、2021年3月ダイヤでは桜木町行き3本、磯子行き2本、大船行き6本で、東京から最も離れた大船まで行く電車が、2020年3月のダイヤから2021年3月のダイヤで2本増えているのです。磯子いそごから先は実質 増発されたことになるわけです。

 

ここでは2020年3月改正のダイヤと2021年3月のダイヤで比較しましたが、言うまでもなく、2020年3月改正のダイヤはコロナ禍より前に策定されたものです。

 

夜間の利用客減少が特に著しいと言われてきたわりには、上記のようにむしろ運転区間の拡大(増発)が行われているケースさえあるのです。

 


 

このように、始発の時間は極僅かな変更で、終電も大規模な繰上げは行われておらず、時間帯・区間によっては増発されているケースさえあるのです。JR東日本などは、始発の繰り下げと終電の繰上げで、夜間の保守作業の余裕を持たせて、保守作業員の労働環境改善を図るとも言っていましたが、この程度の変更では保守作業員の労働環境改善は一切ありえないでしょう。

 


 

近鉄のように、コロナの影響を大きく受けている鉄道会社が存在するのは事実です。東海道新幹線で稼いでいるJR東海も、大きな影響を受けていると言えるでしょう。

 

一方でここまで書いてきたように、建前のうえではコロナの影響としつつ、以前から利用客が減少していた区間で列車本数の削減を行っているケースも非常に多く、全てがコロナ禍の影響ではないことは明らかです。

 

にもかかわらず、どの鉄道会社も『コロナの影響で減便する』と公表し、マスコミも同様に、コロナの影響で鉄道各社が減便を実施すると報道し、コロナの不安を煽っている、それが現状です。