017【カテゴリー:教育】小学英語は不要であり、国語教育の改善こそが必要である ①

2020年度より、小学校5・6年生の英語が『活動』から『教科』へ変更され、同時に3・4年生においても英語が必修化されました。

 

かねてより、『日本人の英語力が低く、グローバル化が進む世界での日本の国際競争力が危ぶまれる』といった論調が存在し、前世紀の終わり頃から、小学校に英語教育を導入すべきか否か、活発な議論が行われてきました。

 

小学英語の教科書は、イラストメインで、吹き出しに短い発話が盛り込まれていて、本格的に学ぶというよりは表現を練習するようなイメージに近いと言えます。かつて議論されていたほど本格的に教えているようには見受けられません。

 

もっとも、昔は小学校では英語教育を行っていなかったことから、小学校教諭の教員免許取得の要件に 英語教授法は盛り込まれていなかったため、小学校に英語が導入される以前から 小学校で教員を務めていた人でも 簡単に対応できるような内容・方法に限定するのであれば、『朝の挨拶は Good morning です』『どちらが好きですかと尋ねるときは Which Do you like…』といった具合で、英語の表現と日本語の意味をほぼ1対1対応にさせるのもしかたないでしょう。

 

あとはネイティブに任せるという方法も考えられますが、生まれてから10年間 日本語しか習得してこなかった小学生たちに対して英語だけで授業を行っても、ほとんど理解されないでしょう。いずれにせよ日本語での説明が必要になります。

 

現状、中学英語の内容が前倒しされた訳ではなく、わざわざ文科省検定済教科書を用意するほどのものでもないように思えます。

 

では、現行の小学英語の内容を本格的にして、中学英語を前倒しするべきかというと、私はそうは思いません。

 

むしろ小学・中学と通して、日本語についてもっと精密に考える機会を与える必要があると考えています。

 

第二言語母語を習得した後に学ぶ言語)は、おのずと母語を介して学ぶことになります。初めに日本語を身に付けた我々は、物事を考えるとき、日本を介して考えています。

 

かつて日本統治下の台湾および日本本土で 日本語で教育を受けた、台湾の李登輝・元総統(1923-2020)も、難しいことを考えるときは日本語で考えていたくらいです。

 

『日本語と英語は語順が異なり、英語は英語の語順で理解するよう努めるべきだ』と言われることがあります。そのこと自体には異論はありませんし、そのためには英語を聞いたり 声に出したりといった言語の本来の習得方法を、多く取り入れる必要がありますが、やみくもに早く始めれば良いというものでもありません。

 

更に言うなら、日本語を介して英語を理解できないうちは、英語を英語のまま理解できるはずがなく、あるいは、言いたいことを母語で正確に伝えられないうちは、言いたいことを第二言語で正確に伝えられるはずがありません

 

そもそも、日本の国語教育は穴だらけです。小学国語で主語と述語を軽く扱い、修飾語についてはほとんど扱うことなく中学に上がり、英語で主語・動詞(述語動詞)・修飾語を本格的に習います。小学国語で品詞と向き合うことなく、中学英語で初めて動詞・名詞・形容詞などの品詞を習います。

 

必要条件・十分条件などの論理的な考え方や帰納・演繹といったことを一切 習わないまま、高校数学で初めて必要条件・十分条件背理法数学的帰納法を習います。

 

国語で習う前に、先に他の教科で習うという現状は、異常としか言いようがありません。

 

このようなガタガタな国語教育をしながら、小学校のうちから早々と英語教育を行ったところで、たいして得られるものはないでしょう。

 

近年の中学生・高校生には、数学や理科などの問題文の意味さえ まともに読み取れない生徒が多く見受けられます。

 

例えば、過去に兵庫県の公立高校入試の数学の問題文において、『父はLサイズのハンバーガーとライスの2品を注文した』というような文面があったのですが、これを見て『父はライスを2品 注文した』と解釈する中学生が後を絶ちません。

 

『AからCまでそれぞれ5通りあるから5×3』の意味を理解できないという高校生がいます。

 

『三角形ABCの辺BC上に頂点と異なる点Dをとり,角ADBと角ADCそれぞれの二等分線が辺AB,辺ACと交わる点をF,Eとする』という問題文に対し、図が掲載されていないとイメージができず、その図を書いてほしいと言ってくる高校生がいます。

 

偏差値50以上、つまり平均以上の学力の中高生でも、このような事態はしばしば起こっています。

 

このような日本の学生に対して、早々と英語を学ばせている場合ではありません。




016【カテゴリー:教育】解法暗記が幅を利かせている大学入試数学

どのような学問も、暗記する・ただ覚えることが主な要素ではないはずです。

 

中には、たくさんのことを覚えなければならない分野があるのも事実です。音声学を専門とする人であれば、多くの言語の音声・発音の特徴を知っておく必要があり、化学の分野を専門とする人であれば、数多くの元素記号・化学式などを覚えなければならないでしょう。

 

中学・高校の地理であれば、主要国や主要都市、河川や山地・山脈など、覚えておかなければならないことはそれなりに存在しますし、数学であれば公式や定理など、必要最低限 覚えておくべき項目は存在します。

 

しかし中学高校の数学の場合、ほとんどの公式・定理について、なぜそれが成り立つのか基礎的な部分から説明されていて、それを理解したうえで公式・定理を覚えるのが本来のやり方です。よく理解せずに覚えただけではすぐに忘れてしまいます。

 

例えば現行課程では高校の数学Aで習う方べきの定理は、3つのパターンがありますが、①円周角の定理 ②円に内接する四角形の性質 ③円の接線と弦がなす角の性質(接弦定理)の3つのいずれかと相似な三角形の性質が関連していることが分かっていれば、必死で覚えるまでもなく簡単に導くことができます。

 

数学Ⅱで習う三角関数の二倍角や半角の公式は加法定理から導かれるので、こちらも覚える必要はないと言っても過言ではありません。むしろ加法定理から二倍角や半角の公式を導く練習を重ねておくべきです。

 

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しかし現状では、高校でそこまで公式や定理を深く理解する機会は与えられず、進学校ともなると教科書で一定の範囲を終えた後は、数研出版の教科書傍用問題集に移り、定期テストまでの間はひたすら問題を解くことを強いられます。公式や定理を深く理解するための時間は与えられず、それらの公式・定理はただ覚えるしかないのが現状です。

 

そのうえ、問題ごとに解法が存在し、公式・定理に加えて解法まで覚えなければなりません。解法は多くの場合、式の変形などのテクニックのようなものに過ぎず、その解法を覚えることで数学の本質的な理解が深まる訳ではありません。

 

1つの問題について複数の解法・公式・定理、つまり複数のアプローチがあることを学ぶのであれば、より良い理解を助けることもありますが、多くの場合は問題ごとに、しかも公式・定理そのものとは別個の解法テクニックが存在します。

 

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もっとも、高校における数学がこのようになってしまったのは、大学入試の影響が大きいと言えるでしょう。解法というのも、多くの場合、数学的な理解を深めるための解法ではなく大学入試のための解法でしかありません。

 

数学B『数列』の単元で扱われる『漸化式』の項目を例に挙げると、教科書では漸化式についての記述は4ページ程度なのに対し、とある大学入試準備用の問題集では、漸化式の解き方に関する問題が8回に亘っています。大学入試で必要な解法パターンの多さがゆえに、8種類もの問題と解答を用意しているのです。

 

教科書:長岡の教科書 数学Ⅱ+B全解説  旺文社  著者代表:長岡亮介
この教科書は文部科学省検定済教科書ではありませんが、
構成や記述の様式など、文科省検定済教科書とほぼ同等のものです。

問題集:基礎問題精講 数学Ⅱ+B  旺文社  著者:上園信武

 

ここで挙げた問題集は、大学入試で頻出の問題を解くうえで必要な知識・テクニックをコンパクトにまとめて、教科書と大学入試の橋渡しをする目的で編集されたものです。この問題集で扱われる問題数が多いということは、それだけ多くの解法・テクニックが要求されるということを意味します。参考までに同じ教科書と問題集の単元ごとの、教科書本文のページ数と問題集の問題数を数えあげて、(問題数)÷(教科書ページ数)を計算することで、どれほど多くの解放パターンが必要なのかを数値化したところ、以下の結果になりました。

 

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数学Ⅱ+B全体では 0.47 、最も低かった単元は『三角関数』で 0.29 、最も高かった単元は『数列』で 0.68 でした。先ほど挙げた『漸化式』の項目に限定すると 2.0、『数列』の中の『数学的帰納法』に限定すると 0.67 で、漸化式は解法パターンが異様に多いことがわかります。

 

そして数列の漸化式に限らず、多くの単元において問題ごとに用いる解法・テクニックが存在します。そのため数学教育に携わる人からは、『数学が苦手な生徒の中には「数学は公式・定理と解法パターンをできるだけ多く覚えて、問題を読んだらどの公式・定理と解法を使うのか判断しなければならない、そして自分が数学が苦手なのは公式・定理や解法を充分に覚えていないからだ」と思い込んでいる生徒がいる』という嘆きが聞かれます。

 

大学入試に間に合わせるには、多くの解法テクニックが必要なため、高校などの教育現場においても問題を解くことに重点を置いて解法をマスターすること、あるいは教科書傍用問題集で公式や定理を問題にあてはめる練習をすることに多くの時間が割かれ、公式・定理の意味や公式同士の関係などを深く考える時間は与えられないのが現状です。

 

このような事情から『数学は公式・定理・解法を覚えて、あとは問題を見たらどの公式・定理と解法を使うのか見抜くもの』という誤解が生じるのでしょう。

 

先に挙げた問題集とはまた別の『標準問題精講 数学Ⅰ+A(旺文社)』の前書きの中で、著者の麻生雅久氏は、『使えない知識はいくら持っていてもしょうがない』『理解することなく覚えた知識は役に立たない』と述べています。

 

しかし、大学によってはそのような理解を求めていないようで、解法・テクニックが幅を利かせています。

 

『長岡の教科書 数学Ⅲ全解説 旺文社』のあとがきにおいて著者代表の長岡亮介氏は、大学受験を終えたばかりの理工系の学生ですら公式を正確に覚えていないことがあり、その場しのぎの機械的な暗記で済ませている学生でも大学に合格してしまうことがあるという「厳しい現実」を認めるべきであると述べて、機械的に覚えるのではなく深く理解することの重要性を説いています。

 

数学に関しては、ただ暗記しただけで合格するような大学が存在する、このような大学受験を経験した人は、物事を深く考えて理解する機会は与えられておらず、むしろ奪われてしまっても不思議はありません。

 

そのうえ、大学入試で数学を必要としない人であっても1年間もしくは2年間、数学を履修しなければならず、そこでは既に述べたように理解を抜きにした公式・定理と解法の暗記を強いられます。

 

こうした路程を経た人が多いために、私たちの多くが、マスコミの垂れ流す嘘や矛盾した情報に何の疑問も持たないほどに物事を考える習慣を奪われてしまっているのではないでしょうか。




015 教育が人々から考える習慣を奪っている

当ブログではこれまで、世の中に不完全な情報が多く出回っていることを書いてきました。

 

メディアは大嘘をつき、書籍やネット上の栄養・健康に関する情報は調べてもなかなか疑問が解決しません。

 

コロナ禍よりも前から都市部でも鉄道の減便は繰り返されており、2020年以降に行われた鉄道減便も、全ての事例においてコロナ禍による利用者低迷が主たる原因ではないにもかかわらず、

 

マスコミは、コロナ禍で利用者が低迷しているために鉄道各社が減便していると報道し、そして鉄道好きの人たちがマスコミの報道内容をコピーペーストし、Youtubeなどで、ここ最近の鉄道の減便が全てコロナ禍の影響によるものであるかのように言っています。

 

前回まで6回にわたり、これらの事例を挙げながら世の中に出回っている情報の不完全さについて書いてきました。

 

このように不完全な情報が出回り、それに対して疑問を呈する人は少なく、多くの人が不完全な情報を不完全なまま鵜呑みにしているわけですが、

 

これは、物事を深く考える人が少ないことを表しているのではないでしょうか。

 

人々がもっと深く物事を考えていれば、不完全な情報がこれほど多く出回ることはないでしょう。

 

そして私は、物事を深く考える人が少ない原因のひとつに教育があると考えています。

 

ちなみに、ここでいう『教育』とは、『受験』や『入試システム』を含めています。

 

現に『知識詰込み型の教育』などと言われるように、小中高と上がる中で、理解が追いつかないまま多くのことを覚えさせられた人も多いのではないでしょうか。

 

高校から先、人によっては大学受験のために多くの科目を勉強しますが、大学受験を終えた後は、大学での専攻分野と関係ないことはいずれ忘れてしまいます。

 

次回から教育や受験の現状をテーマに、教育によって考える習慣が奪われている事例について書いていきます。




014 京浜東北線のワンマン化は、人材不足が理由というより人員削減が目的

ここ最近の記事では、世の中に出回っている情報が不完全であることが多いと書いてきました。

 

前回の記事では、『鉄道各社がコロナ禍を理由に減便を行っている』と度々 言われる中、実際はコロナ禍以前から鉄道の減便は行われていた、あるいはコロナ禍以前から収支状況が良くない鉄道会社・鉄道路線は多数存在していたことを書きました。

 

今回も、鉄道に関する話題で、報道で言われている大嘘をひとつ紹介します。

 


 

首都圏や東北地方、信越地区の鉄道路線と、東北・上越新幹線北陸新幹線の一部区間を管轄化に置くJR東日本は、京浜東北線のワンマン化を計画しています。この件が報道され始めたのは、2020年6月下旬のことのようです。

参考:

「京浜東北線のワンマン運転化」を、JR東日本が検討する理由 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン

 

報道によると、人口減少に伴う人員不足のため、乗務員を減らしていくとのことです。

 

しかし、京浜東北線のような主要路線で、いきなり車掌不在・運転士のみのワンマン運転に切り替えるのはどうかと思います。

 

既に水戸線では、2021年3月にワンマン運転が導入されたのですが、JR東日本・千葉地区の労働組合国鉄千葉動力車労働組合)は、安全を軽視するJR東日本の姿勢を厳しく批判しています。

doro-chiba.org

 

 


 

鉄道におけるワンマン運転は、主に閑散路線、いわゆるローカル線で採用されています。乗客の乗降が少ないため、わざわざ運転士と車掌の2名を乗務させる必要がないという理由で、運転士のみのワンマン運転を行っているというケースが圧倒的多数です。

 

その他にあるとしたら、ほぼ全駅が無人化=自動化されて、人員が必要でない路線です。新交通システム(東京のゆりかもめ、横浜のシーサイドライン、神戸のポートライナーなど)では、乗務員不在の完全な自動運転が行われています。いずれも編成全体としては短く、1本の列車に乗り降りする乗客の数は、京浜東北線ほど大量という訳ではありません。


確かに京浜東北線も、乗降確認カメラやホーム自動ドアの設置などの省力化を行ったうえでワンマン化する訳ですが、都心を貫く長編成の主要路線で車掌不在のシステムを導入するのはいかがなものかと思います。

 

運転士が運転席に座ったまま、ホームの様子を見ることができるようにするとは言え、平日朝夕の混雑の激しい路線で運転士単独で運行するのは、かなり無茶な気がしてなりません。それこそ、安全を軽視していると言わざるを得ません。

 

先に紹介した通り、『国鉄千葉動力車労働組合』もJR東日本の姿勢を安全軽視だとして、強く批判しています。

水戸線5両ワンマンで多くの車掌が自宅待機・出勤予備に | 国鉄千葉動力車労働組合


ワンマン運転が原因で起きたトラブルなどの事例も複数 報告されています。

 


 

ワンマン運転は、JR東日本以外でも多くの鉄道会社が導入していますが、前述の通り、閑散路線で行っているケースがほとんどです。

 

JR東海では、御殿場線身延線関西本線(名古屋・亀山間)など複数の路線でワンマン運転を導入していますが、全列車でワンマン運転を行っている訳ではなく、朝のラッシュ時には車掌も乗務する形態をとっています。

 

JR東日本が首都圏でワンマン運転を行うのであれば、八高線や相模線、内房線外房線などが考えられます。現に2021年秋から、相模線・日光線などに、ワンマン運転に対応した新型車両が順次 導入されています。

 

ただし相模線の場合、全線が単線で、そのうえ4両という短い編成で運行されている小規模路線であるとは言え、南は東海道線茅ヶ崎と接続し、北は横浜線の橋本、一部は中央線の八王子とも接続し、朝ラッシュ時の混雑はかなり激しくなります。

内房線外房線なども、朝は東京に向かう通勤客で混雑する路線として知られています。

 

そのため、ワンマン運転に対応した新型車両を導入するにせよ、ワンマン運転そのものは、昼間や夜間などの閑散時間帯に限定するべきだと私は考えています。

 


 

そしてJR東日本は、都心を10両編成で運行し、かつ運行頻度の高い京浜東北線においても、ワンマン化を進めようとしているのです。運転士の負担は計り知れません。

 

先に紹介した『国鉄千葉動力車労働組合』の記事の中でも、ワンマン運転を行う運転士の負担が指摘されています。

 

そして、将来的には無人運転(自動運転)を導入する方向で検討しているとのことです。
参考:

「京浜東北線のワンマン運転化」を、JR東日本が検討する理由 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン

 

JR東日本が『人材不足』を理由として、それに追随してマスコミも人材不足だからワンマン化すると言っていますが、本音を言うならば、人材が不足している、人材が減っているのではなく、人材を減らしたい、コストを減らしたいということなのではないでしょうか。


現に、人口が減少しているとは言え、一方で失業率は高いままで、仕事を探している人もたくさんいるのです。乗務員として採用するには、集中力など、ある程度は必要な資質というものはありますが、失業率が高いと言われる中で『人材不足』というのは、矛盾でしかありません。

 


 

加えて、昨今では日本政府が移民の受け入れを進めており、安倍内閣から岸田内閣にかけて、移民受け入れはじわじわと増大しています。

岸田内閣が事実上の「移民解禁」 特定技能2号の分野拡大・在留期限をなくす | RAPT理論のさらなる進化形

もともとは建設業や造船業など限られた分野に従事する外国人のみを受け入れていたに過ぎないのですが、農業や漁業、飲食料品製造業、産業機械製造業、外食業、宿泊など、より多くの分野に携わる外国人を受けれるというのです。

 

この勢いで外国人の受け入れを進めれば、JR東日本が言っている人口減少は、いつか人口増大に転じるかもしれません。

 


 

外国人受け入れ・移民受け入れは、やや脱線した内容かもしれませんが、京浜東北線のような、比較的 長大で、しかも高頻度に運行している路線で急にワンマン運転に踏み切り、いずれは無人化まで進めるとなると、人材を自ら減らすつもりでいるとしか思えません。

 


 

今回 書いた京浜東北線のワンマン化にせよ、前回の記事で書いたコロナ禍での鉄道減便にせよ、鉄道会社が言うままにマスコミが報道し、それを聞いて鉄道オタクなどの一般人がネット上で、鉄道会社・マスコミの報道をそのままコピペした内容の情報を発信しています。

 

もう少し前の記事で書いた、健康・栄養・食材に関する話題も、管理栄養士などの資格を持った人が書いている不完全な情報を、一般の人がそのままコピペして発信しているため、よくよく考えるといまいち理解できない話、不完全な情報があちこちに出回っています。

 

それだけ、人々が物事を深く考えなくなってしまったのだと、私は危惧しています。




013 コロナ禍より前から行われてきた鉄道各社の減便

当ブログではこれまでに、この世の中が不完全な情報であふれていると書いてきました。前回までは、栄養・食事・健康に関する情報が特に不完全な場合が多いと書いてきましたが、その他にも不完全な情報はたくさんあります。

 

マスコミの偏向報道が叫ばれるようになってから、かなりの年数が経ちますが、その偏向報道の中でもコロナに関する報道は不安を煽る内容に満ち溢れているのではないでしょうか。あるいは、コロナ禍とはあまり関係ないことまでもがコロナのせいにされて、危険なワクチンを国民に摂取させようという意図が見え隠れしています。

 

※コロナワクチンについては以下の記事を参照願います。
http://rapt-plusalpha.com/health/post-23866/
http://rapt-plusalpha.com/society/post-23794/
http://rapt-plusalpha.com/health/post-23741/

 


 

今回は、マスコミが報道し、あるいは鉄道会社自身が発表して近年 実施している鉄道の減便について書いていきます。

 

『近年 実施している』と書きましたが、実際のところ2019年以前から複数の鉄道会社が減便を繰り返してきました。2020年以降は、どの鉄道会社もコロナ禍を理由に列車本数の削減を行っていますが、コロナ禍とは関係ない減便の事例も多数 存在します。

現に、JR西日本は10年ほど前に一度、関西圏で終電の一斉繰上げを実施しています。

 

以下、実際に2000年代以降に行われた鉄道減便の事例を挙げていきます。

 


 

2020年より前の事例を先に挙げると、
先にも触れた通り、JR西日本は2009年に関西エリアで終電の一斉繰上げを実施しています。
2010年頃には湖西線の京都・堅田かたた間で平日の日中に減便を行っています。
東海道線JR京都線)の京都・高槻間では、2010年・2013年と段階的に日中の普通電車の減便を実施しています。
関西線(大和路線)・和歌山線のJR難波・高田間でも日中の快速の減便を段階的に実施してきました。
阪和線では2011年に、天王寺日根野ひねの間の日中の快速を区間快速に変更し、区間快速が各駅に止まる鳳・日根野間で日中の普通電車を廃止、

同じく2011年に大部分の紀州路快速日根野・和歌山間の各駅に停車するよう変更し、日根野・和歌山間でも日中の普通電車の廃止を行っています。
片町線学研都市線)や福知山線JR宝塚線)でも、同様に日中の快速を区間快速に変更して普通電車の削減を行っています。
その都度、『ご利用状況に応じた列車本数の見直し』という建前で減便が行われてきたのですが、要するに、コロナ禍以前から利用客減少による列車本数の削減は度々 行われていたのです。

 

近鉄も2006年に奈良線で、2012年に大阪線でそれぞれ、準急より停車駅を増やした区間準急を新設し、日中などの閑散時間帯に、区間準急が各駅に止まる区間での普通電車の廃止を行っています。(2021年の7月にコロナ禍を理由に、南大阪線でも日中の急行を区間急行に変更して普通電車の削減を行っていますが、これはコロナ禍以前からの利用客減少が真の理由でしょう。)

 

2019年11月には、JR東日本相模鉄道の直通運転が開始されたタイミングで、埼京線の快速が武蔵浦和・大宮間の各駅に停車するよう変更され、同区間では日中の普通電車が減便されています。

 

これらの多数の事例は、いずれもコロナ禍以前のことで、単なる利用者減が列車削減の理由です。JR西日本の近畿圏の場合、国鉄から民営化された後、大手私鉄との競合区間で利便性を向上させるために電車を増やす努力をしてきたものの、バブル崩壊後の不景気や人口減少、モータリゼーションなど様々な要因が重なって、全体的に利用者が減少しつつあった、その流れで減便を繰り返してきたのです。近鉄など関西圏の私鉄の場合、国鉄が民営化されて以来、乗客がJRに流出していったという事情もあります。

 


 

ここからは、2021年3月以降の事例を挙げます。どの鉄道会社も口を揃えて、コロナの影響による減便としていますが、コロナ禍とは関係なさそうな事例も見受けられます。

 

2021年3月に、JR東日本常磐線我孫子・取手間)の土休日の各停を全廃しました。この区間はもともと、併走する常磐線快速が各駅に停まる区間で、以前から空気輸送に近い状態でした。東海道線の平塚・熱海間や東北線宇都宮線)、高崎線でも毎時1~2本ほど減便されましたが、この規模の減便は昼間だけの話です。

 

2021年7月には、近鉄も各線で減便を実施しています。近鉄の場合、京都、奈良や伊勢・志摩などの観光地を沿線に抱えており、コロナの影響を大きく受けているのは確かで、観光利用が中心の特急は削減されていますが、一方で、ビジネス利用がメインの名阪特急は減便されいてないとのことです。
特急以外の通勤電車は、日中時間帯を中心とした削減でした。こちらはコロナ禍以前から続いている利用者減少が原因と言えるでしょう。
近鉄はそもそも、どのような閑散区間でも日中は毎時2本は電車を運行するという原則を貫いており、特急や主要路線の利用で収支のやりくりをしてきたという経緯があります。いわばもともと無理をしていたのを、2021年7月を機に辞めたのです。近鉄としては、段階的に減便を繰り返していたことかわも分かるように、閑散区間の減便はもっと早く実施したかったはずです。

 

2021年9月には、京阪電鉄が全時間帯に減便を実施しましたが、京阪の場合、長年にわたって利用客がJR等に流出していったことに加え、中之島線京津線の2つの大赤字路線を抱えており、コロナ禍以前から経営収支の改善は大きな課題でした

 

2021年10月に、JR西日本は再度 減便を行いましたが、こちらも日中に限定してのことです。

 


 

2020年にコロナ禍が始まって以来 多くの鉄道会社が、特に夜間の利用客減少が著しいと公表してきました。しかし夜間の減便は極めて限定的、少数で、先に挙げたようにJR西日本JR東日本などでは昼間の減便が圧倒的多数を占めています。

 

これは大きな矛盾ではないでしょうか。

 

2020年3月に改正されたダイヤと2021年3月に改正されたダイヤで、山手線の列車本数を見比べてみても、終電を繰り上げた以外は夜間の減便は見受けられませんし、初電の時間は変わっていません。

平日の山手線・外回りで大崎駅の電車の時刻や本数を、2020年3月のダイヤと2021年3月のダイヤで比べてみると、22時台はいずれも14本で減便は一切されていません。同じく大崎駅の山手線・内回りも12本のままで減便されていません。

平日の京浜東北線南行(横浜方面)の東京駅22時台で比べると、11本のままで減便されていませんし、運転区間(行先)で見比べると、むしろ延長されているくらいです。
京浜東北線南行の東京駅発の主な行先は、東京駅から近い順に蒲田、桜木町磯子いそご、大船があります。この京浜東北線の東京駅22時台の電車の行先を2020年3月ダイヤと2021年3月ダイヤで比べると、2020年3月ダイヤでは桜木町行き4本、磯子行き3本、大船行き4本、2021年3月ダイヤでは桜木町行き3本、磯子行き2本、大船行き6本で、東京から最も離れた大船まで行く電車が、2020年3月のダイヤから2021年3月のダイヤで2本増えているのです。磯子いそごから先は実質 増発されたことになるわけです。

 

ここでは2020年3月改正のダイヤと2021年3月のダイヤで比較しましたが、言うまでもなく、2020年3月改正のダイヤはコロナ禍より前に策定されたものです。

 

夜間の利用客減少が特に著しいと言われてきたわりには、上記のようにむしろ運転区間の拡大(増発)が行われているケースさえあるのです。

 


 

このように、始発の時間は極僅かな変更で、終電も大規模な繰上げは行われておらず、時間帯・区間によっては増発されているケースさえあるのです。JR東日本などは、始発の繰り下げと終電の繰上げで、夜間の保守作業の余裕を持たせて、保守作業員の労働環境改善を図るとも言っていましたが、この程度の変更では保守作業員の労働環境改善は一切ありえないでしょう。

 


 

近鉄のように、コロナの影響を大きく受けている鉄道会社が存在するのは事実です。東海道新幹線で稼いでいるJR東海も、大きな影響を受けていると言えるでしょう。

 

一方でここまで書いてきたように、建前のうえではコロナの影響としつつ、以前から利用客が減少していた区間で列車本数の削減を行っているケースも非常に多く、全てがコロナ禍の影響ではないことは明らかです。

 

にもかかわらず、どの鉄道会社も『コロナの影響で減便する』と公表し、マスコミも同様に、コロナの影響で鉄道各社が減便を実施すると報道し、コロナの不安を煽っている、それが現状です。




012 1日に必要なカロリー

今回も、食と栄養に関する話題です。

食・栄養・健康に関する話題は、これで3回目になります。

 


 

1日に必要なカロリーは、年齢・性別ごとにおおよそ決められています。

 

また、高校の時に家庭科で習ったのですが、同じ年齢・性別でも、1日ずっと座ってばかりの人、家事などで少々 体を動かす人、運動量の多い人、というように、運動量によっても必要なカロリーは変わります。私が高校生だった当時1999年頃は、運動量による必要カロリー量は、4段階に分けられていたと記憶しています。

 

 

ちなみに、入院中の成人男性で特に食事制限がない人の入院食の1日あたりのエネルギーは 2,000kcal 程度だと聞いたことがあります。

 


 

食物に含まれるエネルギー量については、糖質とタンパク質は1gあたり4kcal、脂質は1gあたり9kcalで計算されます。

 

サラダ油を、単純に脂質 100%とすると、サラダ油 50gで 450kcal、上白糖を、単純に糖質 100%とすると、上白糖 50gで 200kcalになります。

 


 

私は高校生の頃から1日2食程度しか食べておらず、人と比べると食べる量は少ないのですが、おそらく基礎代謝が低いからだと思います。1日3食も食べていたらすぐに太るでしょう。

 

また、暑い時期には食欲が下がる人は多いでしょう。インドなどの暑い地域では、スパイスを多く用いた料理を作ることで食欲増進を促しているという話は、中学校の社会でも習う話で、知っている方も多いでしょう。

 

ドイツ人は1日4食か5食か、とにかくたくさん食べると聞いたことがありますが、ドイツ人が太っているというイメージはありませんね。体が大きい分、基礎代謝が活発なのでしょうか。

 


 

ここまで、1日に必要なエネルギー量について、ありきたりのことを書いてきましたが、ひとつ、大きなことが忘れられています。

 

医者や栄養士などは一切 話さないのですが、同じ人でも寒い時期と暑い時期では、必要なエネルギーは変わってくるはずです。

 

我々 人間や、ペットとして人気のある犬・猫などの哺乳類と、鳥類は、生物学上は『恒温動物』に分類されています。1年を通して、気温に関わらず体温はほぼ一定です。

 

気温が高ければ、その分、体の熱が逃げていかないため、体が消費するエネルギー量は少なく、気温が低ければ、その分、体の熱が逃げていくため、体が消費するエネルギー量は多いということになります。暑いと食欲が落ちるのは、このこととも大いに関係があるでしょう。

 

それなのに、この気温・気候・季節と必要なエネルギー量については、どこにも書かれていません。栄養学や医学の専門家は、なぜこの点に触れないのでしょうか。

 


 

ここ3回にわたって、食や栄養に関する話題について書いてきましたが、食・栄養・健康に関する情報は、これほどにもガタガタなのです。

 

分かりづらかったり、あるいは不完全であったりということが多く、栄養に関する情報は嘘が多いのではないかと疑うレベルです。

 

書き出したらキリがないので、食・栄養・健康に関する話題は、ここで一旦 区切りますが、結局のところどのような食生活を送れば良いのか、この点に関しては、私はシンプルに考えています。

 

小学校の家庭科で習ったとおり、色々な食品を満遍なく食べれば良いのだと解釈しています。




011 パセリ100gとトマト100gを比較する?

前回に引き続き、食と栄養に関する情報について書いてみます。

 

○ レモンや梅干はクエン酸が多く、疲労回復に良い
○ ゴマはビタミンEが多く、老化予防や血液循環改善効果が期待できる
○ 小魚はカルシウムが豊富で、骨粗鬆症の予防効果が期待できる

 

食材ごとに含まれる栄養素は様々で、特徴のある食品は、上に箇条書きで挙げたように紹介されることが多いですが、いずれも、100グラムあたりに含まれる各栄養素の質量が基準となっています。

 

1950年(昭和25年)に『日本食品標準成分表』が公表されてから改訂を重ねて、現在、最も新しいデータとして『日本食品標準成分表2020年版』が存在します。2020年版では 2,478種類に及ぶ食品の、可食部 100グラム当たりの栄養素が記載されているそうです。

 

そして、ゴマにはビタミンEが多い、小魚にはカルシウムが多いなどと言われるのは、100グラムあたりに含まれる栄養素の量に基づいている場合がほとんどです。

 


 

ではレモン果汁を、他の果物、例えばリンゴやブドウなどと同じように、ストレートでコップ1杯 飲めるでしょうか。水で薄めてハチミツを混ぜれば飲みやすくなりますが、薄めたらその分、たくさん飲まなければ、レモンの栄養はわずかしか摂れません。

 

梅干のように味が強いものを、一度に100グラムも200グラムも食べられるでしょうか。水につけて塩抜きをするということはできますが、そうすれば、カリウムクエン酸など水に溶けるものは全て抜けてしまいます。

 

可食部 100グラムあたりの栄養素をデータにすること自体は何ら問題ないのですが、レモン・梅干など味が強くて一度に少量しか食べないものやパセリ・シソの葉・海苔・小魚・ゴマなど、とても軽くて一度に少量しか食べないものを、大根や白菜、牛乳や肉類など、一度にそれなりの重量を食べたり飲んだりするものと一律で、100グラムあたりに含まれる栄養素をもとに比較して意味があるでしょうか。

 

私は、この点については中学生の時から大いに疑問に思っていました。

 


 

こういったことを考慮せず、栄養学の専門家や栄養士の人が、食材 100グラムあたりに含まれる量をもとに、『○○は○○が豊富』なとど大々的に書いています。一度に少量しか食べない物も、一度にある程度の量を食べる物も同等に書かれています。

 

シソの葉を食べて美肌づくりの効果を得るには、何枚 食べなくてはならないでしょうか。

 

牛乳 200mlと同等のカルシウムを摂取するには、小魚は何g必要でしょうか。

 

こういった肝心な情報が、ごっそり抜けているのです。前回の記事でも書きましたが、栄養や健康に関する情報は、不完全なことが多いのです。

 

次回も、栄養や食に関して出回っている情報について書く予定です。